先生が羊水少ないって言ってたって?甘く見てはいけない羊水過少症!
Canteenです。
妻が羊水過少症と診断されました。
妊娠して36週の定期検診の時に診断され、その日から急遽入院することになりました。その先々週から羊水が少ないと担当医から言われていたのですが、羊水の量がさらに急に減ったということで入院するに至りました。
それまで、特に妊娠してからトラブルもなく、経過していただけに妻本人も大きなショックを受けていました。担当医からは羊水が少ないので週1回来院するように指示があったのですが、特に我が家では深刻に捉えてはいませんでした。もちろん入院するなんて話もありませんでした。
入院後、胎児に悪影響があるので、陣痛促進剤を投与して産まれなければ、帝王切開をするという流れになりました。自然分娩できるとばかり思いこんでいた我々はだいぶパニックでした。。。
羊水過少症とその後の出産までの流れについて、我が家の例をご紹介します。
羊水過少症とは
様々な診断基準はありますが、羊水過少症とは羊水の深度(羊水インデックス;AFI)が5cm未満を羊水過少症というそうです。
羊水が減ると何がまずいかというと、
- 胎盤の機能が十分でなく、胎児の発育に影響がある可能性がある。
- 胎児の動けるスペースが狭いために、胎児の体の一部が羊膜と癒着したり、奇形となったりする可能性がある。
- 羊水には胎児の体を守るクッションの役割があるが、出産時のストレスから胎児の体を守れなくなる可能性がある。
- 羊水は胎児のおしっこから作られることから、胎児の腎機能に障害がある可能性がある。
ということみたいです。
その他の合併症の可能性について、MSDマニュアルのプロフェッショナル版に詳しく記載がありますので、合わせてご覧ください。
また、羊水過少症に対するガイドラインは、「産婦人科診療ガイドラインー産科編2017」に妊娠中の羊水過少の診断と取り扱いは?(174ページ)にて示されていますので、ご確認ください。このガイドラインで興味深いのは、
AFIは偽陽性の確率が高く、帝王切開などの医学的な介入が有意に高くなるが、児の予後は変わらない
と指摘している点です。
妊娠34週目で羊水少ないと担当医に言われる
このときは、ふ〜んくらいに思ってました。担当医からは、通常2週に1回の検診でいいところを、週に1回受診するように指示がありました。今思えば、このときにしっかり手を打っておけばよかったという後悔はあります。
妊娠35週目で再び羊水少ないと担当医に言われる
ここらへんでなんかおかしいなってことで、ネットでいろいろ調べ始めました。すると、水をたくさん飲むと良いというのがヒットしてきました。うちではミネラルウォーターを妻はよく飲んでいたので、水よりも吸収されやすそうなポカリスエットを箱買いして、なるべくポカリをたくさん飲むようにしました。
妊娠36週目で羊水が急減
羊水が先週の検診から大きく減っているということで、入院の指示がありました。
ポカリをたくさん飲むようになってから、逆に羊水が減っていたようです。ポカリを飲むことでおしっこの回数が増えて、逆に体液量が減り羊水減少に繋がったのかもしれないですが、理由は定かではありません。
妻の体のことなので、何ともできることはありませんが、水を飲めと言っても飲んでるからの一点張りで、妻は特段の対応を取る様子もなかったので、せめてポカリにすればと思ったのですが、結果的には逆効果だったようです。効果があるかはわかりませんが、つべこべ言わずに水を2Lとか多めに飲むように、説得しておけばよかったです。。。
ちなみに、羊水が減る原因の1つには羊膜に穴が空いて羊水が漏れ出ているというのが考えられます。この場合には、いくら羊水の分泌を増やそうとしてもしょうがないです。羊水が漏れているような気配があれば、担当医にすぐ相談しましょう。即入院となると思います。
入院後の処置
入院後、胎児が陣痛のストレスに耐えられるか確認するため、陣痛促進剤のオキシトシンを低用量で投与されました。オキシトシンは点滴で静注投薬です。
子宮の収縮が促されます。子宮が収縮したタイミングで胎児の心拍数が低下しないかを確認しました。
本人は、子宮が収縮していることに気づかない程度の強さだったようですが、胎児の心拍数に特に影響はなく、とりあえずは問題なさそうという判断でした。
もし、このときに心拍数の低下が認められた場合には、即帝王切開でした。。。
陣痛促進剤による分娩の誘発(1日目)
数日経過して、妊娠37週の正産期にはいったところで、陣痛促進剤オキシトシンを一定量ずつ増やしていき、最大量まで投与されました。陣痛促進剤には、子宮収縮が進みすぎて子宮が破裂し、胎児と母体の両方に生命に関わるという重大な副作用があるため、胎児の脈拍と子宮の収縮を常にモニタリングしながら投与を進めます。
オキシトシンは点滴での静注投薬ですが、陣痛促進剤にはプロスタグランジンの経口剤もあります。経口剤の場合には、投薬したあと、子宮収縮の強さを調整できないというリスクもあります。
陣痛促進剤投与の前日の朝には、子宮口の開きをよくするためのラミナリアという棒を膣に突っ込まれてました。はじめ3本でしたが、夜には10本突っ込まれてました。朝方の時点で、子宮口は3cmまで開いていました。この棒がかなりの痛みだったようです。膣に傷がついて出血も多少あったみたいです・・・
こうやっていろいろ準備していた結果、1日目経過した時点で陣痛は起きませんでした。最大量投薬したくらいで、ややお腹の張りを感じる程度だったみたいです。
陣痛促進剤による分娩の誘発(2日目)
昨日に続き、陣痛促進剤の投与が同じ要領で行われました。ただ、1日目の投薬終了後の夜から、時折お腹の痛みがあったようです。今思えば、本陣痛の予兆だったみたいです。
昨日は、最大量まで投薬しましたが、本日はその半量いかない位投薬したところで、子宮収縮時の胎児の心拍数の低下(50〜70回/min)が認められました。通常は、120〜160回/min程度でした。そこから、陣痛促進剤の増量はストップとなりました。
この日に陣痛が来なかったら、担当医は帝王切開する気だったみたいです。私たちは反対でしたが。それで、帝王切開のリスクについて詳しく説明を聞いたりしてるうちに、妻の腹痛がどんどん強くなり、内診してみると、子宮口が4〜6cm程度開いていたようで、これは行けるぞということで、自然分娩を試みました。
痛みが腹部から腰部や臀部にまで強くなってきたところで、子宮口が8cmまで広がり、それからすぐに破水しました。そのあとすぐに、子宮口を広げる注射を打たれたあと、すぐに分娩室まで運ばれました。
結果として、帝王切開はせずに、経膣分娩を行うことができました。
帝王切開をする可能性も十分にあったにも関わらず、経膣分娩ができたことはほんとにラッキーでした。帝王切開をする可能性があったので、帝王切開についてもっと詳しく話を聞いていみました。
帝王切開のリスクとは
メルクマニュアルによるとアメリカでは3割程度が帝王切開だそうです。
ただ、だからといって帝王切開が安全とかそういう話ではないです。メルクマニュアルに記載がありますが、依然として経膣分娩に比べて帝王切開は死亡や合併症発症のリスクが数倍高いです。まあ、自然分娩できない状況だからこそ、帝王切開を行うため、何かしら良くない状況があるので、死亡や合併症の可能性が高いのは当たり前な気もしますが。
帝王切開に限らず、外科手術の場合には、
- 縫合不全や創傷からの感染症
- 他臓器の損傷
なんかがあります。こうしたリスクを甘く見てはいけないと思います。
また、第2子を出産する際にも、帝王切開が第一に考慮されます。子宮に古傷があるので、子宮が裂けてしまうリスクがあるみたいです。
もちろん、胎児の心拍数の急減といった問題があれば、帝王切開が優先されると思いますが、帝王切開にはリスクがあります。どうしても必要な場合以外には、安易にやるべきではないです。
まとめ
以上、私たちの場合の羊水過少症の経過でした。もし、羊水が少ないと言われたら、こういうことに繋がりかねないということを頭においておいてくださいね。
結果、我が子は2300gくらいで産まれてきました。予定日よりも20日くらい早かったです。早産児にはならなかったですが、他の子に比べると明らかに小さな赤ちゃんでした。ですが、生後1〜2週間で、体重は2500gを超えてきました。なんとかなります。
つらつら書きましたが、医学的判断には必ず医師の診断が必要になります。ただ、患者側の同意あっての治療や手術ですから、状況によっては意思や希望を伝えることも重要だと思います。帝王切開等のリスクのある処置に対しては、事前に話をしっかり聞きましょう。そして、自分たちの大切な体ですから、納得した上で、治療や手術を進めてもらいましょう。
本記事で引用している、メルクマニュアルは出産に限らず、医療全般が比較的わかりやすくよくまとまっていますので、おすすめです。
皆様の出産の無事をお祈りします。
帝王切開等で早めに出産した場合には、低出生体重児(2,500g未満)で産まれてくることが多いと思います。低出生体重児のケアすべきポイントや健康リスクについて記事にしましたので、合わせてご覧ください。
また、出産する病院選びや出生前診断を受けるかどうかの決断といった、妊娠後にすぐやるべきことをまとめた記事もありますので、合わせてご覧ください。