給与明細がわかる!天引き所得税、社会保険料が決まる仕組みとは?
Canteenです。
社会人になってサラリーマンになると給与明細をもらうかと思いますが、なんか引かれてますよね。なんかよくわからないまま、税金収めたり保険料収めたりするのも嫌ですよね。お金周りの知識がないと、いろいろ損しちゃいますよね。税金の決め方がわかっても、税金が減るわけではありませんが、一応知っておいたほうがよいとは思います。
天引きされるお金はいろいろありますが、まずは、『所得税』、『健康保険料』、『厚生年金保険料』についてご説明します。というのも、これらの3つがいずれもその金額の決定に、標準報酬月額が影響するからです。
その他に天引きされるお金として、『住民税』、『雇用保険料』があります。これらについては、別の記事でまとめます。
こちらはサラリーマンの方を対象とした記事であり、自営業の方は色々異なりますので、ご注意ください。ちなみに、社会人になったら知っておくべき、『ふるさと納税』、『クレカ選び』、『給与口座選び』についてはこちらの記事をご覧ください。
所得税の決まり方
月々の所得税は、『給与所得の源泉徴収税額表(月額表)(平成30年)』をもとに、2つの要素で決まります。その2つとは、
① その月の社会保険料等控除後の給与等の金額
= 給与支給総額 ー (健康保険料+厚生年金保険料)
② 扶養親族等の数
になります。①と②より、実際の所得税を以下、『給与所得の源泉徴収税額表(月額表)(平成30年)』の抜粋より確認してみます。
上で示しました『①その月の社会保険料等控除後の給与等の金額』は下表左端の2列です。それと、甲の『②扶養家族等の数』が交わったところが、所得税の金額となります。
※一番右の乙の列は、『扶養控除等申告書の提出がない人』が見るゾーンですので、会社で年末調整があり、確定申告不要な方は関係ありません。
例えば、給与の支給総額が20万円で、扶養家族が0人の単身者の場合、その月の所得税は4,770円になります。
上記の表を見てみますと、①その月の社会保険料等控除後の給与等の金額が増えるほど、所得税が上がり、②の扶養親族等の数が増えるほど、所得税は減ることがわかります。
上述の通り、
① その月の社会保険料等控除後の給与等の金額
= 給与支給総額 ー (健康保険料+厚生年金保険料)
となっていますので、所得税は『健康保険料+厚生年金保険料』に依存して変化していることが分かります。ちなみに、『健康保険料+厚生年金保険料』を『社会保険料』と呼びます。
健康保険料・厚生年金保険料の決まり方
所得税の決定にも関わる、健康保険料と厚生年金保険料はそれぞれ
健康保険料 = 標準報酬月額 ✕ 健康保険料率
厚生年金保険料 = 標準報酬月額 ✕ 厚生年金保険料率
で算出されます。この『標準報酬月額』というやつは、以下の要領で決定されます。いろいろありますが、通常は4、5、6月分の給与の平均が、その年の『標準報酬月額』になります。下の表の定時決定ってやつです。
標準報酬月額の決め方 内容 資格取得時の決定 被保険者が資格取得した際の報酬に基づいて一定方法によって報酬月額を決定し、資格取得月からその年の8月(6月1日から12月31日までに資格取得した人は、翌年の8月)までの各月の標準報酬とする。 定時決定 毎年7月1日現在で使用される事業所において、同日前3か月(4月、5月、6月、いずれも支払基礎日数17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上)に受けた報酬の総額をその期間の総月数で除して得た額を報酬月額として標準報酬を決定し、9月から翌年8月までの各月の標準報酬とする。 随時改定 被保険者の報酬が昇給・降給等で固定的賃金に変動があり、継続した3か月間(いずれも基礎日数17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上)に受けた報酬総額を3で除して得た額が従前の標準報酬の基礎となった報酬月額に比べて「著しく高低を生じた場合」において、厚生労働大臣が必要と認めたときに改定する。 育児休業等終了時の改定 被保険者からの届出によって、育児休業等終了日の翌日が属する月以後3か月間に受けた報酬の平均額に基づき、その翌月から新しい標準報酬月額に改定する。 保険者決定 資格取得時決定における算定方法及び定時決定における算定方法による算定が困難なとき、資格取得時の算定額が著しく不当であるとき、定時決定の算定額が著しく不当であるとき、随時改定の算定額が著しく不当であるとき、一時帰休による変動があったとき、のいずれかに該当するときは、厚生労働大臣が算定する額を被保険者の報酬月額として標準報酬月額を決定(改定)する。
健康保険料率は、所属する健康保険組合によって異なります。ご自身の健康保険証に記載の組合名+健康保険料率のキーワードで、ネット検索して調べてみてください。数%〜10%程度じゃないかと思います。
厚生年金保険料率は、下記の『厚生年金保険料額表』をご覧いただくと右上に、15.9%とありますよね。厚生年金保険料は、会社が半分出してくれますので、個人負担分は7.95%になります。
※ 実際は、加⼊する厚生年金基⾦ごとに免除保険料率が異なりますので、あくまで7.95%は目安です。
健康保険料も厚生年金保険料も、原則会社が半額出してくれています。ありがたや。
さらに下表から標準報酬月額がわかります。自分の給与総支給額が報酬月額の幅あるところのどこに該当するか見てみると、左端列の等級ごとに標準報酬(標準報酬月額)が読み取れます。
引用元:平成29年9⽉分(10⽉納付分)からの厚⽣年⾦保険料額表
例えば、給与の支給総額(報酬月額)が20万円の場合、標準報酬月額も20万円となります。その時の厚生年金保険料の個人負担額は、右端列の15,900円となります。
よって、非常にざっとまとめると、感覚的には
総支給額の5%くらいが健康保険料として、8%くらいが厚生年金保険料として天引きされる
ってことになります。
また、4、5、6月分の給与の平均が、その年の『標準報酬月額』となりますので、この3ヵ月の給料は少ないほうが、健康保険料と厚生年金保険料が減ることになります。
まとめ
① 標準報酬月額が高くなると、社会保険料(健康保険料+厚生年金保険料)が高くなる。
② 社会保険料が高くなると、所得税が安くなる。
さらにここへ、
③ 厚生年金保険料が高くなると、もらえる年金が増える。
というファクターも加わって、ほんとややこしいですね。結局どうなったら、保険料が安くなって得するか、みたいな単純な議論はできなさそうです。
以上、所得税と社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)のご説明でした。まあまあややこしいですね。よく先輩社員から4、5、6月は残業しないほうがよいと言われるのはこういうわけでした。こちらの記事で、給与明細見て、なんとなく合ってるかなくらいはわかるようになると思います。