【食中毒対策】ふきん・食器洗いスポンジは菌だらけ。煮沸・アルコール・次亜塩素酸除菌のすすめ!
Canteenです。
惣菜店でのO-157による死亡事故がニュースになったりしたこともありましたが、有害な種類の菌やウイルスを増やさないためにはどうしたらよいのでしょうか。
日本医師会の医療と健康によると、
O157の感染力は非常に強く、100個程度のO157が身体の中に入っただけでも、病気を起こしてしまいます(多くの食中毒では、100万個以上の菌が身体の中に入らないと食中毒は起こりません)。
とあります。感染力の強いものはほんのわずかでも危険ですが、大抵の菌は上記のようにめちゃくちゃ増えなければ害をなしません。
ですので、食中毒予防の第一目標は、有害な菌やウイルスを増やさないことにあります。家庭でよく使うふきんや食器洗いスポンジは菌だらけで非常に汚いことがわかっています。なので、ふきんやスポンジの定期的な交換や消毒も必要です。また、暖かい夏場に食べ物を屋外に長く置いていて集団で食中毒になったりすることもままありますし、冷蔵庫に食べ物を入れるといった対策も有効です。
ちなみに菌とウイルスは混同されがちですが、それぞれ違います。
- 菌:細胞から成っていて、温かくて水があって栄養があれば自分で勝手に増える。
- ウイルス:DNAやRNAから成っていて、人間の細胞に感染して宿主細胞の中で増える。
といった感じです。ただ、除去方法に大きな差はありませんので、意識せずとも問題ないかとは思います。
それでは大学の研究室で菌やウイルスの培養を何百回も行ってきた経験から、菌やウイルスを増やさないためにはどうしたらよいのかをご紹介していきます。
ふきんや食器洗い用スポンジは汚い
よくふきんで水拭きされると思いますが、水拭きでは除菌はできません。それどころか、半乾きで置いといたふきんなんかはめちゃくちゃ不衛生で菌を塗り拡げることになります。
台ふきんと食器用ふきんの微生物汚染状況という面白い調査がありまして、このレポートをご覧いただくとわかりますが、ふきんは基本的に菌で汚染されていて取扱い注意です。
この調査でのおすすめの消毒方法は、
ふきんの消毒には次亜塩素酸ナトリウムなどの塩素系消毒剤や熱湯の使用が効果的な方法であることがわかった。しかし、ふきんに存在する菌を完全に除菌することはできず、生き残った菌が短時間に急激に増殖することから、これらの除菌効果を過大評価せず、できるだけ小まめに消毒をすることが望ましいと考えられた。
台ふきんと食器用ふきんの微生物汚染状況より
とあります。ふきんのこまめな消毒が重要です。
また、食器洗い用のスポンジの菌の汚染も深刻なようです。家庭の台所用スポンジタワシの細菌汚染とその殺菌方法によると、
1.家庭で使用されている台所用スポンジタワシのほとんどは細菌で汚染されており、食中毒菌が含まれているものもあった。
家庭の台所用スポンジタワシの細菌汚染とその殺菌方法より
2.それらのスポンジタワシ中では、サルモネラや病原大腸菌は増殖可能でまた黄色ぶどう球菌を含め25℃で5日以上生存していた。
3.しかし、それらのスポンジタワシ中の細菌は毎日30秒以上熱湯 に浸すことにより容易に死滅する。
とあります。
ふきんや食器洗い用のスポンジは煮沸消毒や次亜塩素酸消毒するか、洗濯乾燥機でこまめに洗浄・乾燥するなどしましょう。もちろん、定期的な買い替えによる交換も有効です。
一般家庭では無菌状態にはできない
基本的に人の体には有害・無害な菌を含めてたくさんの常在菌がいますし、そこら中にいるあらゆる菌を一般家庭や飲食店で完全に滅菌するのは不可能です。
沸騰させたら無菌になると思われている方も多いと思いますが、沸騰だけでは滅菌できません。もちろん煮沸消毒は有効な消毒方法の1つですが万能ではないことです。
というのも一般的に菌は、高温を感知するとヒートショックプロテインというもの作りだして、高温環境への変化に一時的に対応できるようになっています。
100℃以上の温度でかつ、非常に高い圧力下で数十分滅菌処理を行わないと、菌を完全に滅菌させることはできません。そのため、一般家庭や飲食店で行える対策は菌をなるべく増やしにくくすることになります。
菌の種類によりますが、有害な菌が1個口から入っても基本的に大きな問題にはなりません。一方で、有害な菌が数万個という単位で口から入ると、その菌が体内でさらに増殖して、人体に有害な物質を分泌し、食中毒に繋がります。
菌が増えやすい条件とは
菌が増えるために必要な要素は、以下の3つです。
- 温度(10℃〜40℃程度)
- 栄養
- 水
例えば、大腸菌は栄養豊富でかつ、37℃の温度がある水の中であれば、約20分で2倍に増えます。ということは、6時間ほどその条件が続くと、2の18乗で、26万2,144倍になります。
20℃前後程度の室温であれば増殖スピードは落ちるものの、条件によりけりですが、30分〜1時間程度で大腸菌の数は2倍になります。ちなみに、O-157というのは大腸菌の種類の1つです。
夏場に食中毒が起こりやすいのは、気温が高いため、菌の増殖スピードが他の季節に比べて早いことや、衛生管理のされていない屋外での飲食の機会が増えることが要因だと考えられます。
菌を増やさないための対策
菌を増やさないために、一般家庭や飲食店で対応可能な方法としては、以下のようなものが考えられます。
- 洗い物などは溜め込まず、都度洗浄する。
- 食品は、冷蔵保存する(冷蔵しても菌が増えるスピードが大きく落ちるだけで、増えないわけではありません)。
- 手や洗い場等について、アルコール除菌や次亜塩素酸除菌を行う(100%アルコールでは殺菌効果がありません。市販の除菌用アルコールを使用します)。
- 食べ物が付着するもの(トング、取り箸、受け皿等)を使いまわさず、使い捨ての割り箸、紙皿等を活用する。
- ふきんは古くなったら交換する。
- ふきんは水洗いではなく、煮沸消毒、洗濯乾燥もしくは次亜塩素酸除菌を行う(有害な種類の菌が付着したふきんで拭くと、菌を塗る広げることになります)。
- 飲食物以外に手を触れたら、都度手洗いを行う、又は飲食物に触れる際には、新しい使い捨て手袋を用いる。
ドアノブなんかは洗浄される機会がほぼなく、本当に不衛生なので、手で触れた後はアルコール除菌したほうがよいです。ちなみに、お金も汚いイメージがありますが硬貨よりも紙幣の方が菌は多いそうです。
また、菌はさておきウイルスが付着していることもありますので、ドアノブは定期的に物理的な拭き取りと、アルコール除菌をしたほうがよいと思います。
ウイルスには次亜塩素酸消毒
ウイルスの除去方法は、基本的には菌と同様で問題ありません。アルコールや煮沸消毒が効果があります。
ただ、中にはアルコールや煮沸消毒が効かない種類のウイルスもいます。
そうしたアルコールの効かないウイルスに対しても、次亜塩素酸による消毒効果はあります。アルコールや煮沸消毒の他にも、できれば次亜塩素酸を自宅に常備しておきたいところです。
おすすめの除菌アイテム
アルコール消毒液
以下、ビオレから出ているアルコール消毒液です。使いやすく安価で、比較的長持ちしますのでおすすめです。
アルコール除菌は完璧ではないものの、多くの菌に対して有効ですので定期的にアルコールでの消毒も行う方がよいです(ちなみに100%アルコールに除菌効果はありません。70%程度に薄める必要があります)。
余談ですが、油を溶かしやすいアルコールで拭くときれいになりやすいので、キッチン周りの油汚れは、除菌がてらアルコールで掃除するのもおすすめです。ただ、アルコールは引火物ですので、火元に置かないようにご注意ください。
次亜塩素酸
アルコールが効かない菌やウイルス(ノロウイルスやロタウイルス)に対しても次亜塩素酸ナトリウムによる消毒は有効です。次亜塩素酸自体かなり強力な薬剤ですが、高温や紫外線で分解が促進されますので、基本的には使用後ほっとけばそのうち消えてなくなります。
まとめ
以上、人の体に有害な菌やウイルスを増やさない、除去するための方法でした。
- 煮沸消毒
- アルコール消毒
- 次亜塩素酸消毒
をこまめに行うことが重要です。
食中毒の原因を取り除き、ご家庭の衛生面を改善するきっかけになれば幸いです。